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歯生え薬ってご存じですか?第三の歯にむけての研究

北野病院で、歯生え薬の治験が始まりました。

京都大学医学部附属病院の協力のもと、医師主導治験が開始されます。

対象は「2〜7歳で4本以上の先天欠如歯に該当する方」です。

先天性無歯症は、6本以上の歯の先天的な欠如を認める症例です。顎骨の発達期である幼少期から歯がないため、入れ歯やインプラントでの治療を行いたいところですが、顎骨の成長を考えると非常に困難です。さらに成長期に歯がないためオーラルフレイルの状態となり、歯を支える顎骨の成長にも悪影響を及ぼします。既存の治療法としては、成人になるのを待って入れ歯やインプラントによる欠損歯の治療しかなく、根治的な治療として歯の再生治療の開発が強く望まれていました。

2007年USAG-1タンパクの遺伝子欠損マウスにおいて過剰歯を形成することが認められ、歯の数を増やすことができることが発見されました。2019年には先天性無歯症マウスと過剰歯マウスのUSAG-1遺伝子欠損マウスの交配により歯の形成が回復することが確認され、先天性無歯症マウスにUSAG-1siRNAを投与することで、先天欠損歯を回復できることが示されました。

USAG-1タンパクは、ヒト、マウス、ビーグル犬などの異種動物間で97%の高いアミノ酸相同性を有しており、2021年12月、マウスとビーグル犬において口腔内投与および静脈内投与で欠損歯を回復できることが明らかになりました。

日本国における歯の欠損を有する患者は、高齢者を中心として5800万人以上と非常に罹患率が高く、先天的な欠損だけではなく後天的な欠損歯に対しても歯の再生医療は大きな期待を寄せられています。将来的には永久歯の次の「第3の歯」を再生させる治療法ができるかもしれませんね。

超高齢化社会を迎え、健康寿命を延ばすことを目標とした予防医療への関心が高まっています。健康寿命とは、人がけがや病気で寝込むことなく健康な状態で自立して生活できる期間のことをいい、健康寿命は、単に生存している期間ではなく、けがや病気などがなくその間の健康な状態を示します。健康寿命を延ばすために、フレイルの前段階であるオーラルフレイルを改善することは非常に重要です。オーラルフレイルにより咀嚼機能が衰えると、全身のフレイルが進行することとなり、そのため咀嚼における歯の重要性が再認識されています。自分で食べられる事が、オーラルフレイルの改善に繋がります。今後、う蝕、歯周病、外傷などによる歯の欠損対して第3の歯を作り出すことで、高齢者も自分の歯で食事ができるようになるかもしれません。

第三生歯が本当にできるようになると、歯科治療は大きく変わります。このニュースは画期的な内容ですね。

しかし、う蝕や歯周病で第三生歯がなくなってしまうと次はどうなるんでしょう?仮に第3生歯が誕生したとしても、ブラッシングの大切さや歯を大切にする気持ちは変わらず持っていて欲しいな、と、個人的には思います。

オーラルフレイルにつきましては、近日中にブログにてもう少し詳細な内容をお知らせします。お楽しみに!