ご予約はコチラ

診療時間
9:00~13:00/14:00~18:30
※月曜午後は、17:00まで診療
休診日
木曜、土曜午後、日曜、祝日

ブログ

40年前に埋めたインプラントの再生計画

インプラントの寿命って何年くらいだと思いますか?

埋めたインプラントのメーカーや、材質、そして埋めた後のメインテナンスの方法によりインプラントの寿命は異なります。

信頼できるメーカーのインプラントを埋め、チタンと顎骨がきっちりとオッセオインテグレーションしており、かつメインテナンスもきっちりと行われており、タバコ吸わない、体もとても健康、歯ぎしりなど極端に負荷を加えることもない、となれば、かなりの長期間の使用が可能になります。

今日は昭和50年代に埋めたインプラントを、令和の現代に再生させる、そんな時間を超えたお話です。

【40年前のインプラントがグラグラするのと、右下の歯が腫れて痛くてたまりません】

そんなお悩みをお持ちの患者様が来院されました。

右下の5番は折れていました。右下6.7.8はインプラントで補綴されていますが、多少のグラグラがある状態です。

左上のインプラントはぐらついていて、取れてしまいそうな状態。

インプラントを埋めた前医の歯科医院はすでに閉院しており、連絡が取れない状態でした。

もちろん、インプラントカードもとうの昔に紛失されており、患者さんはどこのメーカーのインプラントを埋めたかの記憶がありません。

埋めたインプラントの種類やアバットメント、上部構造といったメインテナンスを行うための情報が手元に全くない状態です。

ヒントは、口腔内の状態と、レントゲン写真のみ。時間を超えての推理ですね。ワクワクします!

左上は上部構造にスクリューホールがないので、セメント固定のインプラントで、内部にアバットメントが入っているものだとわかります。

右下はスクリューホールがあるので、スクリューリテインのインプラントですね。

右下5番は折れており、保存できる状態ではないため抜歯しました。

レントゲンから、ものすごく多数あるインプラントのうち、ブローネマルクスタンダードのインプラントであろうと推察。

なんと40年経った現在でも、現役で臨床で使用されているノーベルバイオケア社のインプラントです。

(この件は、CIDの先生方にもご相談させていただきました!本当にありがとうございます!)

左上のセメント固定のインプラントから治療開始しました。

上部構造に振動を加えて上部構造に傷をつける事なく撤去することができました。

CTを取得して分析した結果より、インプラント体のオッセオインテグレーションはまだ確立されており、骨の喪失もさほどない状態であることを確認しました。

内部のアバットメントのスクリューはノーベルバイオケアのスタンダードなスクリュードライバーで再度トルクをかける事が可能でした。

外した上部構造は洗浄し、消毒して再利用可能である事を確認しました。

アバットメントに適切なトルクをかけ、再度固定したうえで上部構造を洗浄、消毒してきれいにした後、再度セメント固定しました。

何かあった時に外せるように、固定するセメントはセレクトします。

インプラント上部構造の場合は硬すぎるセメントで固定してしまうと、外せなくなってしまいます。

そうなると、メインテナンスができなくなってしまいますからね。

固定した後にかみ合わせの調整を行い、違和感がなくなるまで上部構造を研磨しました。

左上のインプラントはこうして再度使用する事ができる状態に復元できました。

40年前のインプラントが再度使えた点について考察すると、やはりノーベルバイオケアのブローネマルクスタンダードという、数あるインプラントメーカーの中でもシェアが広く、40年前のインプラントの最高峰の物を使っていた事に尽きると思います。

幸いなことにブローネマルクスタンダードを使っておられたので、40年経った今でもそのインプラントが存在しますので(公式サイトのオンラインショップで購入することができます)、現在のノーベルバイオケア社の補綴キットを使って上部構造のメインテナンスができます。

また、患者様には糖尿病などの基礎疾患がなく、タバコも吸わない、健康状態が良いことも免疫力が高く細菌感染にインプラントが負けなかった理由だと思います。

口腔内の清掃も気を配っておられ、プラークコントロール良好であった事も大きいです。

キッチリしたメーカーのインプラントを埋め、健康に気をつけ、お口の中のメインテナンスをキッチリと行う事で、インプラントが長期使用できる事が分かる、貴重なケースでした。

やはり、インプラントは信頼できるメーカーのものを使用することが一番大事だと思います。なんといっても、顎骨に埋め込むものですからね。

当院では、例えばストローマン、ノーベルバイオケア、デンツプライシロナ、京セラなどといったシェアの広いインプラント体を使用することを推奨しています。

何かあったときにこうやって時間を超えて修理やメインテナンスができますからね。

材質の良いものは、時間がたっても良いです。

さて、この方は右下のインプラントも40年前に埋めておられます。

こちらはなかなか苦労しました、、、なんせ、ノーベルバイオケアのマイナスドライバーが必要でしたから、、、(ノーベルのマイナスドライバーは公式サイトのオンラインショップでは買えませんからね)。

こちらに関しては、また、次の機会にお話ししたいと思います。