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心筋梗塞などの持病をお持ちの方の外科処置について
「残念ながら抜歯になります。」 歯医者さんにこう言われて、とても不安になった事はありませんか? 「あの、私、心筋梗塞の既往や糖尿病があるのですが…」
心筋梗塞の既往がある、血圧が高い、糖尿病がある、骨粗鬆症で薬を服用している…など、さまざまな持病をお持ちの方は多いです。 特に年配の方になればなるほど、心筋梗塞や脳梗塞の既往のため、血液サラサラの薬を服薬しているため出血しやすく、止血に時間がかかる方や、骨粗鬆症のためBP(ビスホスホネート)製剤を服用されておられ、顎骨壊死のリスクが高い方など、さまざまな事情により服薬を余儀なくされるケースは多いです。その場合、抜歯を含めた観血処置のリスクが高くなります。 健康体で、血圧も問題なく、血糖値も正常、といった方の抜歯に際しては、さほど大きな問題が起こる事は少ないです(それでも、抜歯中になんらかの問題が起こる事はありえます)。ですが、持病をお持ちの方の抜歯やインプラント埋入に関しましては一歩間違うと大変なことになります。そのため、細心の注意を払って手術を行います。
心筋梗塞のケースをお話しします。 まず、心筋梗塞後半年間は原則抜歯やインプラント埋入手術などの観血処置は行いません。 いつ心筋梗塞を発症したのか、どのような治療を行ったのか、現在の服薬状況はどうか、コントロール状況はいかがか、といった内容をお尋ねするために、かかりつけ医の循環器担当医に情報提供を求めるお手紙を送ります。 かかりつけ医と密に連絡を取る事で、現状を把握し、抜歯に際する留意点を明らかにします。 現在はバイアスピリン一錠程度の服用であれば、お薬は止めずに抜歯などの観血処置を行います。 手術の際には、生体情報モニタリングの機械を装着していただき、心電図や血圧、経皮的動脈血酸素飽和度 (SPO2)を測定しながら処置を進めます。 もちろん、AEDを準備して、万が一の心停止の際にも備えます。 現在日本では、救急車が到着するまで約8分かかると言われています。心室細動が起きると数秒で意識がなくなり、5分後には脳障害が起こって死亡します。そのため、一刻も早くAEDを施行することが必要とされています。そのためにも、術前から生体情報モニタリングを装着する事は非常に有効で、問題が出た瞬間に即座に対応を取る事が可能です。 生体情報モニタリングを装着してインプラントを埋入しています。(左腕のカフは血圧、右指はSPO2、赤緑黄色の線は心電図です)。 この方は、3年前に心筋梗塞の既往がありましたから、術前には循環器内科のドクターと密なやりとりをさせていただきました。 バイアスピリンを止めずにインプラントオペを行いましたので、出血傾向がありましたが、緊密な縫合を行う事で、後出血はありませんでした。 特に問題なく手術は完了しました。 つばめデンタルクリニック川西では、持病をお持ちの方の抜歯やインプラント埋入、フラップオペなどの観血処置を行っています。 かかりつけ医と密な連携を取り、術前より生体情報モニタリングを取りながらの処置を行います。 バイアスピリンを服用されている方は、原則服薬を止めずに処置を行いますが、止血剤をしっかりと使用し、緊密に縫合を行うことで、後出血のリスクを減らしています。 持病をお持ちの方で、歯に問題がある方は、お気軽にお問い合わせください。スタッフ一同患者さまのために、万全の態勢で治療にあたりたいと思います。
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